• 高校受験

私立高校と公立高校の違いとは?それぞれの特徴や魅力、注意点を比較

2023.01.02

高校受験を控えた子どもを持つ保護者や、これから高校の進学先を考える中学生にとって、「私立高校と公立高校どちらを選ぶべきか」は高校選びにおける悩みのひとつではないでしょうか。

「学費はどれくらい違うの?」「教育内容にどんな差があるの?」「うちの子にはどちらが合っているのだろう?」など、疑問は尽きないかもしれません。

この記事では、私立高校と公立高校の違いを7つの観点から比較します。ぜひ、納得のいく進路選びの参考にしてください。

公立高校と私立高校の主な違い

まずは、公立高校と私立高校の基本的な違いを見ていきましょう。運営母体や学費、教育内容などの項目で比較しながら、それぞれの特徴を大まかにつかんでください。

比較項目公立高校私立高校
運営母体地方公共団体学校法人
学費・費用比較的安い傾向比較的高い傾向
教育方針・カリキュラム学習指導要領にもとづく独自の教育方針で、特色豊か
施設・設備自治体の予算による充実している傾向
校風・サポート体制生徒の自主性を尊重する傾向きめ細かなサポートを行う傾向
入試制度学力検査の比重が高い傾向推薦など入試形態が多様
通学区域(学区)原則として学区がある学区の制約がない

運営母体

公立高校は、主に都道府県や市町村といった「地方公共団体」が運営しています。地域住民のための公的な教育機関という位置づけです。

一方、私立高校は、学校ごとに定められた「建学の精神」にもとづき、「学校法人」が設立・運営しています。そのため、学校独自の理念や教育方針が反映されるのが特徴です。

学費・費用

公立高校は学費が比較的安い傾向にあります。対して私立高校の学費は公立より高くなるのが一般的です。

文部科学省の調査(令和5年度)によると、保護者が年間に支出した学校教育費や学校外活動費などの学習費総額は公立高校が約59万8千円、私立高校が約103万円というデータもあります。特に授業料で比較すると、公立高校が約45,000円なのに対し、私立高校は約233,000円となり、その差は大きいといえます。

【授業料の支援制度について】

高校の授業料に関しては、国の「高等学校等就学支援金制度」があります。これは現在、世帯年収の目安が約910万円未満の家庭を対象に、国が授業料の一部または全部を支援する制度です。私立高校に通う場合も利用でき、家庭の経済的負担を軽減できます。

また、お住まいの自治体によっては、独自の上乗せ補助や入学金の支援制度を設けている場合もあるので、あわせて確認してみることをおすすめします。

なお、2026年4月からは就学支援金制度の所得制限が撤廃され、私立高校の支給上限額も引き上げられる予定です。これにより、私立高校がより身近な選択肢になる可能性があります。

【参考】 「高校生等への修学支援」 (文部科学省)

【出典】 「令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します」 (文部科学省)

教育方針・カリキュラム

公立高校の教育は、文部科学省が定める「学習指導要領」にもとづいて行われます。これにより、進学実績や校風は学校ごとに異なるものの、教育の質は一定に保たれているのが特徴です。近年では、国際科、理数科といった専門学科や単位制を導入するなどの多様化が進み、特色ある公立高校も増えています。

私立高校は、独自の教育方針を掲げ、特色あるカリキュラムを編成できるのが強みです。大学進学に特化したコース、語学教育に力を入れたコース、STEAM教育や国際交流プログラムなど、学校の個性が際立つ教育が行われています。

施設・設備

一般的に、私立高校の方が施設・設備が充実している傾向にあります。ICT環境が整った教室、人工芝のグラウンド、部活動専用の施設、専門分野を学ぶための実習室など、学習環境が整っていることが多いです。

一方、公立高校の施設は自治体の予算によって整備されます。もちろん、全ての公立高校の設備が古いわけではなく、校舎の建て替えやリノベーションで新しい設備を導入している学校も増えています。これについては一概にはいえないため、学校見学などで実際に自分の目で確かめることが大切です。

校風・サポート体制

私立高校は、きめ細かなサポートが特徴です。独自のカリキュラムを組めるため、高校の学習範囲を早めに終わらせ、大学受験対策に多くの時間を充てる学校も少なくありません。

公立高校は、生徒の自主性を尊重する校風が多く見られます。そのため、自分で考えて行動する力が養われやすい環境といえます。ただし、これもあくまで一般的な傾向です。熱心な先生が手厚い指導を行う公立高校もあれば、生徒数の多い大規模な私立高校もあります。

入試制度

公立高校の入試は、学力検査の結果を重視する一般入試が中心です。これに加え、中学校からの調査書(内申点)の評価も加味されます。近頃では、推薦入試だけでなく学校長の推薦がなくても出願できる特色選抜を実施する公立高校も増えています。

私立高校は、学力検査を課す一般入試に加え、多様な推薦入試を用意しているのが特徴です。また、合格したら入学することが条件の「専願」と、公立高校とあわせて受験できる「併願」という区分があり、面接や小論文など学校ごとの独自選考が行われる場合もあります。

通学区域(学区)

公立高校は、多くの地域で居住地にもとづく「学区制度」が設けられています。ただし、学区制度は都道府県によって異なり、近年では学区を撤廃したり、緩和したりする動きも見られます。

私立高校には、この学区の制約がありません。基本的には通学が可能であれば、住んでいる場所に関わらず、どの地域の高校でも受験・入学できます。

私立高校の魅力・注意点

ここからは、私立高校ならではの魅力と、入学を検討する際に知っておきたい注意点を解説します。

私立高校の魅力

独自の教育と手厚いサポートがある
「建学の精神」にもとづいた特色ある教育は、私立高校の魅力です。自分の興味や「こんなことを学びたい」という目標が明確な場合、それに直結したコースで専門性を高められます。例えば、高度な大学受験対策、専門分野の探究、充実した語学研修など、学校独自のプログラムが用意されています。

充実した施設・設備で学業や部活動に打ち込める
生徒が学業や部活動に専念しやすいよう、環境整備に力を入れている学校が多いのも特徴です。専門的な学習に必要な実習室や実験室、思う存分練習に打ち込めるグラウンドやトレーニング施設など、充実した設備は高校生活をより豊かにしてくれるでしょう。

注意点

計画的な学費・諸費用の準備が必要になる
私立高校を選ぶうえで考慮すべき点は、やはり費用面です。授業料以外にも、入学金、制服代、施設費、教材費、修学旅行の積立金など、さまざまな費用が必要になります。
そのため、授業料だけでなく、「3年間の総額でどれくらいかかるのか」を事前にシミュレーションしておくことが重要です。前述の就学支援金制度のほか、自治体や学校法人が独自に設けている奨学金制度(給付型・貸与型)についても調べておくと、より安心して進路選択ができます。

公立高校の魅力・注意点

次に、公立高校の魅力と進学するうえで心に留めておきたい注意点を見ていきましょう。

公立高校の魅力

経済的負担を抑えられる
公立高校は、私立高校に比べて授業料が安いことに加え、施設費といった諸費用も抑えられる傾向にあります。そのため教育費全体の負担が軽い点が大きなメリットです。
また、学区制度により受験できる地域が限られているため、通学時間が短くて交通費を節約できる場合もあります。

地域に根ざした教育が受けられる
公立高校は地域に根ざしており、学区内からさまざまな家庭環境や考え方を持つ生徒が集まる傾向にあります。多様な価値観に触れる機会も多いため、視野を広げるきっかけの一つになるでしょう。

注意点

進路実現に向けた自主性が求められる
公立高校は、手厚いサポートというよりは生徒の自主性を尊重する傾向にあります。そのため、自分の進路を実現するには、受け身の姿勢ではなく主体的に行動することが大切です。分からないことは先生に質問に行く、進路指導室を積極的に活用する、オープンキャンパスや入試の情報を自分で集めるといった、「自分から動く力」が求められます。

私立と公立どちらがおすすめ?選び方のヒント

ここまで見てきた特徴を踏まえ、私立と公立どちらの高校が向いているのか、選び方のヒントをまとめました。

私立高校が向いている子どもの特徴

独自の校風・教育方針に魅力を感じる
学びたい分野(国際関係、芸術、スポーツなど)がはっきりしており、それに特化したカリキュラムで学びたい子に向いています。また、オープンスクールや説明会などで校風が「自分に合っている」と感じる場合も、良い選択肢になるでしょう。

部活動や設備面を重視したい
部活動に力を入れたいと考えており、そのための施設や指導者が充実している環境を求めている子に向いています。

指定校推薦枠で大学に進学したい
多くの私立大学は、系列の高校や特定の私立高校に対して指定校推薦枠を設けています。希望する大学への進学ルートとして、指定校推薦を考えている場合は、志望校の合格実績を確認するとよいでしょう。
ただし、公立高校にも指定校推薦枠はあります。そのため、推薦枠を狙うからといって必ずしも私立高校を選ぶ必要があるわけではありません。

公立高校が向いている子どもの特徴

学費をなるべく抑えたい
高校卒業後の進学や、その他の学びに費用をかけたいと考えている家庭にとっては、公立高校が有力な選択肢となるでしょう。

日々の学習や活動に自分から取り組める
自分で学習計画を立ててコツコツ努力できる子や、先生からの指示を待つのではなく、自ら考えて動く力を伸ばしたい子に向いています。

地域に密着した環境を望んでいる
さまざまなバックグラウンドを持つ同級生と交流し、多様な価値観の中で高校生活を送りたいと考えている子にも向いています。

もちろん、これらはあくまで一般的な傾向です。最終的には、自分の性格や将来の希望などを複合的に考えることが大切です。
より詳しく、自分に合った高校を見つけるためのポイントを知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

※参考コラム:自分に合った高校の選び方|選ぶときのポイントや情報の集め方を解説

私立と公立の違いを理解して納得のいく選択を

今回は、私立高校と公立高校の違いについて、さまざまな角度から解説しました。
私立高校と公立高校には、それぞれに異なる魅力があります。どちらが良い・悪いという二択ではなく、「その学校で3年間充実した学びができるか」という視点で選ぶことが何よりも大切です。

偏差値だけで判断するのではなく、ぜひ親子で話し合い、オープンスクールや説明会に足を運んでみてください。実際の雰囲気を肌で感じることが、納得のいく高校選びにつながるはずです。

京進の中学・高校受験TOPΣでは、少人数制・完全担任制で子どもひとりひとりに合った学びを提供しているだけでなく、進路の相談にも随時乗っています。無料体験授業も行っていますので、高校受験への取り組みを強化していきたい方はぜひお問合せください。

「京進の中学・高校受験TOPΣ」について詳しくはこちら