
- 大学受験
小論文の得点を伸ばすコツは?構成や基本的ルール、大事なポイント
「小論文対策は何をすればいいのだろう?」「そもそも作文と何が違う?」
そんな悩みを抱える中高生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
実は今、大学や高校の入試で小論文の重要性が高まっています。総合型選抜や学校推薦型選抜はもちろん、一般選抜でも思考力や表現力を問うために小論文が取り入れられるケースが増えているのです。
小論文は、自分の考えを論理的に伝え、相手を納得させる力を求められる試験です。付け焼き刃の対策では、高得点を得るのは難しいと言えます。逆に、早めに正しい書き方とコツを身につけることで、他の受験生と大きな差をつけることができます。
この記事では、小論文の基本から高得点を狙うための具体的なコツまで、分かりやすく解説します。小論文の不安を解消し、自信を持って入試に臨む準備を始めましょう。
本記事の目次

小論文と作文・感想文の違い
高校受験や大学受験の際に、初めて小論文に挑む受験生もいるでしょう。まずは基本として、小論文がどのような文章なのか把握しておきましょう。一般的に小論文は、作文・感想文と以下のように異なります。
小論文 | 作文・感想文 |
---|---|
意見を述べる | 気持ちの変化や感想を述べる |
論理性が重要 客観的に書く | 体験や見聞きしたことが必要 主観的に書く |
小論文と作文・感想文の大きな違いは、「客観性」と「論理性」にあります。小論文は、与えられた問いに対して、客観的な根拠に基づき、筋道を立てて自分の意見を述べる文章です。一方、作文や感想文は、自分の体験や出来事を通して感じたこと、思ったことを中心に、比較的自由に書くことができます。
そのため、小論文では、「私はこう思う」という意見だけでなく、「なぜなら、こういう理由やデータがあるからだ」という客観的な根拠を示し、誰が読んでも納得できるような論理的な展開が必要です。。
小論文の基本構成とルール
説得力のある小論文を書くためには、基本の型(構成)とルールを守ることが大切です。これらを押さえるだけで、文章が格段に分かりやすくなり、減点を防ぐことにもつながります。
小論文の基本構成
小論文には、論理的に文章を書きやすくするための基本的な構成があります。一般的には「序論」「本論」「結論」の三段構成や、さらに細分化した四段構成が用いられます。ここでは、四段構成について見ていきましょう。
基本の4ステップ
1.問題提起:与えられたテーマについて、「~だろうか」「~という課題がある」といった形で、これから論じる点を明確に示します。
2.意見提示:問題提起に対して、「私は~と考える。」のように、自分の意見や主張をはっきりと述べます。
3.論拠提示:自分の意見を裏付けるための理由や具体的な根拠(事実、データ、具体例など)を詳しく説明します。「なぜなら~だからだ。」「例えば~という事例がある。」といった形で、説得力を持たせます。
4.結論: 本論で述べたことを要約し、改めて自分の意見を主張します。「よって、私は~と考える。」と締めくくり、文章全体をまとめます。
この型に沿って書くことを意識するだけで、考えが整理され、論理の通った文章を作成しやすくなります。
小論文の基本的なルール
小論文には、内容だけでなく書き方にもいくつかの決まりごとがあります。基本的なルールを守り、不要な減点を避けましょう。
文字数:指定された文字数の9割以上を書きましょう。800字指定なら720字以上が目安です。文字数が少なすぎると、意欲がない、あるいは論じきれなかったと判断される可能性があります。
文体(表記):文末は「だ・である」調で統一します。「です・ます」調は、作文やレポートでは使いますが、小論文にはふさわしくありません。両方の文体が混在しないように注意しましょう。
段落分け:内容の区切りが良いところで適切に段落を分けましょう。段落の冒頭は、必ず1マス空けてから書き始めます。
数字の表記:横書きの場合は算用数字(1、2、3)を、縦書きの場合は漢数字(一,二,三)を使用するのが一般的です。
表現: 小説のような文学的表現(比喩など)や、話し言葉(「すごい」「めっちゃ」など)、略語は避けます。客観的で論理的な表現を心がけましょう。
このようなルールを守ることで、スムーズに読み手に伝わりやすい小論文を作成できます。
\生徒ひとりひとりに合った指導で志望校合格へ導く/
得点UPにつながる!小論文のコツ
基本的な構成とルールを踏まえたうえで、さらに評価を上げるためのコツをご紹介します。これらのポイントを意識することで、より説得力がある小論文となり、高得点につながるでしょう。
設問の意図が理解できるまで問題を読み返す
解答となる文章自体は論理的に書けていても、設問に沿っていない意見や結論が書かれている場合、点数は減点される可能性があります。そのため、問題文を丁寧に読まずに書き出してしまうことは厳禁です。
設問の読み間違えはどのように起こるのでしょうか。典型的な例を以下に提示するので、参考にしてください。
例題
少子高齢化が進む日本において、AIはどのような分野に利用されていくのでしょうか。あなたの考えを500字以上700字以内で述べなさい。
良い解答例
少子高齢化が進み、労働人口が減っていく中で、特に医療や介護の分野においてAI技術が活用されていくと考える。その理由は~~
悪い解答例
日本では今後さらに少子高齢化が進んでいくと考える。その理由は~~
【良い解答例と悪い解答例の違い】
問題文を読むと、少子高齢化が進む中で「AIの技術がどのような分野に利用されていくのか」についての考えを述べるよう求められているが、悪い解答例では、その点には答えず、少子高齢化が進む理由を述べようとしている。
このような間違いを防ぐために、問題文の重要なポイントには線を引き、問われていることをしっかり理解できるまで読み返すようにしましょう。問題文の言葉でぱっと発想が浮かんだときでもすぐに文章を書き出すのではなく「何を解答すべきなのか」を分析し、解答条件や字数を踏まえて、後述する「構成メモ」を作ってから書き始めるようにします。
最初に「構成メモ」を作る
小論文を書く際には、書き始める前に文字数を考慮しながら全体の構成を考えましょう。小論文の設計図となる「構成メモ」を作ることで、どのように書き進めていくべきかが明確となります。
まずは、問題提起、意見提示、論拠提示、結論それぞれの項目で何を書くのかをメモしてまとめます。メモを参照しながら、詳しい内容を肉付けしていきましょう。構成メモの例を以下に提示しますので、参考にしてください。
例題
近年、外国人移住者の増加にともなって、日本人とのトラブルが増加している。これについてあなたの意見を述べなさい。
構成メモの例
問題点:外国人移住者宅のパーティーなどによる騒音問題が取りざたされている。
原因:欧米では、コミュニケーションの手段として屋内でパーティーを催すことが多い。外国人移住者の方に悪気はないが、日本のルールに即していないため、トラブルになっている。
知識・体験談:近隣に住む外国人移住者によるパーティーの騒音がうるさいが、なかなか注意する人はいなかった。しかし、ふとしたきっかけで彼らと話すようになった人が頼んだところ、夜中の騒音はなくなった。
意見:コミュニケーション不足による、お互いの誤解が大きな溝となってしまうことがある。お互いの暮らしやすさのために、コミュニケーションをとるべきだ。
理由:実際に話してみることにより、騒音問題が解決できた
このひと手間をかけることで、論理の矛盾や飛躍を防ぎ、一貫性のある文章をスムーズに書くことができます。
資料のキーワードを本文に盛り込む
小論文の設問で資料文が与えられることがあります。資料文がある場合、その中に必ずキーワードやポイントが含まれています。文章を書く際には、そのキーワードやポイントを内容に盛り込むよう心がけましょう。
資料文を読む際には、自分の主張の根拠に使える部分がないか、重要な言葉やポイントなどに印をつけながら読むのがおすすめです。説得力のある内容の濃い小論文に仕上げるために、根拠に厚みを持たせられる情報も入れて、深く考察できるとよいでしょう。
小論文では、志望学部に関係する時事問題がテーマに取り上げられることも多いです。そのため、日頃からニュースに目を通すように心がけて、社会問題について自分なりの考えを持つようにしましょう。また、志望学部や専門教科に関する関連記事や書籍を読むなど、事前に勉強しておくことも大切です。
意見と結論は一貫して主張する
自分の意見および結論を、一貫して主張することも非常に重要です。小論文の中で自らの意見がブレていると、文章の根幹が揺らぎます。問題提起、意見提示、論拠提示、結論のそれぞれのフェーズで、一貫性のある主張ができるよう、常に意識しながら論理展開を進めていきましょう。小論文の中で意見のブレはどのように生ずるのか、注意点がわかるように例文を示します。
例題
日本では、未だに子どもの権利に対する反発は根強く、子どもの権利条約の批准も1994年と遅くなりました。子どもの人権への理解が深まらない日本の実情について、あなたの考えを600文字程度で述べなさい。
良い解答例
日本では子どもに関する数多くの問題がありながら、子どもの人権への理解が深まらないのは、日本での子ども権利条約の認知度が低く、そもそも子どもの人権に関する知識が乏しい大人が多いからである。
悪い解答例
日本では栄養失調になったり、暴力を受けて路うえで亡くなったりなど、発展途上国にあるような実情はないため、子どもは十分に守られ、権利は保証されている。一方で、児童虐待の件数は増え続けており、15〜19歳の死因の第一位は自殺である。
【良い解答例と悪い解答例の違い】
良い解答例では、なぜ子どもの人権への理解が日本では深まらないのか、自分の考えを明確に導入部分で記載しています。しかし、悪い解答例では、なぜ深まらないのかの理由が書かれていないだけでなく、「子どもが十分に守られている」「児童虐待が増えている」と相反する事実が記載されていて、主張に一貫性がありません。
説得力を増すために根拠は複数提示する
論拠提示のフェーズで主張の根拠を展開する際には、複数の根拠を提示するようにしましょう。まずは主張の軸となるメインの根拠を提示しつつ、説得力を高めるための関連データや具体例を用意すると、論理展開に深みが増します。説得力を増すための根拠の提示の仕方を例文によって解説します。
例題
現代社会ではスマートフォン(スマホ)などのデジタルデバイスは、社会生活を送るうえでも欠かせません。しかし、スマホがないと平常でいられなくなる「スマホ依存症」と呼ばれる状態がもたらす弊害が問題視されています。スマホ依存による弊害が具体的にどのようなものなのか、あなたの考えを述べてください。
良い解答例
スマホ依存によって、脳の情報処理機能が低下するという弊害がある。スマホ依存の人は、長い時間スマホを見て情報をインプットし続けることが習慣化するので、脳が休むことができず、脳疲労の状態に陥るからだ。
また、スマホにより手軽な情報に触れてばかりいると、脳の浅く考える機能ばかりが頻繁に働き続ける。そのため、使用されていない深く考える機能がフリーズし、思考力が低下することも考えられる。脳は手軽な快楽に流されやすくなり、ますますスマホへの依存性が高まり、情報処理機能は低下する。
さらに、スマホ依存は学力低下にも影響する。仙台市が行ったスマホの利用時間と中学生の学力の関係を調べた調査によると、スマホを使う時間が長ければ長いほど、平均点が下がるという傾向が見られた。勉強時間は同じであるにも関わらず、スマホの利用時間が長いほど平均点が低下するのだ。このことは、脳の機能とスマホの利用との深い関係性を示している
。
悪い解答例
スマホ依存の弊害として学力低下が挙げられるので、できる限りスマホの使用は控えるべきである。スマホ依存から脱するために効果的なのは、スマホを見る時間を制限する、勉強する部屋にスマホを置かない、睡眠時間1時間前にはスマホを触らないといったデジタルデトックスだ。
【良い解答例と悪い解答例の違い】
良い解答例では、スマホ依存の弊害として情報処理機能の低下を挙げ、その根拠として脳の疲労や深く考える機能の衰えについて追究しています。また、スマホ依存の弊害として学力低下も挙げ、仙台市が行った調査結果を取り入れることで説得力を高めています。
一方、悪い解答例では、スマホの弊害として学力低下を挙げていますが、その根拠が説明されていないため、説得力が乏しいです。その後もスマホ依存の対処法について述べており、問われているスマホ依存の弊害に対して、答えられていません。
高校・大学入試で出題される小論文の傾向
ひとくちに小論文といっても、高校入試と大学入試、また学部・学科によって出題されるテーマや形式は異なります。志望校の過去問を確認することが重要ですが、ここでは一般的な傾向を解説します。
高校入試で出題される小論文の傾向
高校入試では、中学生にとって身近なテーマが扱われることが多いです。「中学校生活で学んだこと」「高校で挑戦したいこと」「地域の課題」といったテーマについて、自分の考えや経験を基に、分かりやすく表現する力が求められます。
最近では、SDGsや多様性、情報モラルといった社会的なテーマも増加傾向にあります。グラフや短い文章などの資料を読み解いて考えを述べさせる問題もあるため、日頃からニュースに関心を持ち、様々な情報に触れておくことが大切です。
大学入試で出題される小論文の傾向
大学入試の小論文は、より専門性が高まり、高度な読解力、論理的思考力、表現力が問われます。出題形式も、特定のテーマについて論じる形式のほか、長文の課題文を読解・要約したうえで意見を述べる形式、複数の資料を読み解く形式など多岐にわたります。
テーマも「少子高齢化」「AIと社会」「環境問題」「ジェンダー」など、現代社会が抱える複雑な問題もあり、志望する学部・学科に関連した専門的な内容が出題されることも少なくありません。単に知識を披露するのではなく、課題の本質を見抜き、自分なりの視点で筋道を立てて論じる力が求められます。
高校・大学入試どちらにおいても、「なぜそう思うのか」を自分の言葉で論理的に説明できるかが大切です。そのためにも、普段から社会の出来事にアンテナを張り、自分なりの意見を持つ習慣をつけておきましょう。
小論文の得点を伸ばすコツは日々の積み重ね
ここまで、小論文の書き方の基本からコツまで解説してきました。しかし、これらの知識を得ただけですぐに高得点が取れるわけではありません。小論文の力を本当に伸ばすために大切なのは、「実際に書き、人に見てもらい、改善する」という地道なサイクルを繰り返すことです。
まずは志望校の過去問や市販の問題集などを使い、時間を計って書く練習から始めましょう。そして、書いた文章は塾や学校の先生など、第三者に読んでもらい、客観的な意見をもらうことが上達への近道です。自分では気づけなかった論理の矛盾や、分かりにくい表現などを指摘してもらうことで、次の改善点が見えてきます。
小論文は、正しい対策をすれば力が伸びる分野です。そして、その対策は志望校の出題傾向に合わせて行うことが重要になります。
「何から手をつければいいか分からない」「自分の志望校に合った対策がしたい」「プロの視点で添削してほしい」
そんな悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、京進の個別指導スクール・ワンにご相談ください。
京進の個別指導スクール・ワンでは、小論文を含む推薦入試対策にも対応している教室があり、ひとりひとりの志望校や学力に合わせたカリキュラムで、合格までをサポートします。経験豊富な先生が、構成の立て方から文章の表現方法まで丁寧に指導し、「どう書けばいいか分からない」状態から「高得点が取れる小論文が書ける」状態へと導きます。
無料学習相談、無料体験授業、見学のお申込み、お問合せは下記になりますので、お気軽にご連絡ください。