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中学受験に頻出!「場合の数」が苦手な理由や出題別解き方のコツ

2023.05.18

「場合の数」は、サイコロの目の出方のように、ある事柄が起こるとき「何通り起こるか」を数え上げる単元です。中学受験で頻出なだけでなく、高校受験や大学受験にも出題されるテーマなので、しっかりマスターしておきましょう。

◆本記事の目次

「場合の数」が苦手な理由

場合の数の問題は中学受験の算数でよく出題されるため、解き方をしっかり理解して確実に得点したい単元で、場合の数が苦手だと感じているケースでは、次のような原因が考えられます。

●数え間違いをしている

場合の数では、カードの選び方やサイコロの目の出方など、ある事柄が起きる回数を正しく数えなければなりません。場合の数の問題が解けない理由の一つは、重複して数えていたり、数え漏れをしているといった、数え間違いをしていることがあげられます。

●そもそも数え方がわからない

場合の数は、「順列」や「組み合わせ」などのルールにのっとって数える必要がありますが、まずそのルールを知らないと正しく数えられません。また、サイコロの目の出方やカード・人の並べ方、色の塗り分け、道順など、問題のパターンが多様であるため、どの問題でどの数え方を使えばよいのかを見極める点に、難しさを感じていると考えられます。


「場合の数」をスムーズに解くコツ

場合の数は中学受験だけではなく、高校受験や大学受験にも出題されるテーマです。小学生のうちに基本的な考え方や解法を、しっかり身につけておきましょう。

●樹形図を画く

場合の数を数えるために必須の知識、樹形図の画き方です。樹形図を画くことで問題の内容がすっきりと視覚的に整理され、過不足なく数えやすくなります。また、樹形図を用いて考えることで、順列・組み合わせの公式や和の法則・積の法則についても、ただ暗記するだけではなく、なぜそうなるのかを理解することができます。

●問題のパターンを覚える

場合の数の問題は、サイコロの目の出方やカードの並べ方など、多くのパターンがありますが、どの数え方をするパターンなのかを見極めることができれば、解くことができます。解法のパターンを見極める力をつけるためには、いろいろなパターンの問題にあたり、繰り返し解くことが有効です。


中学受験でよく出る「場合の数」の例題と解き方

場合の数の基本的な例題を4つあげています。どのように数えればよいか考えてみましょう。

●例題1【順列】

・問題
A君、B君、C君、D君の4人でボール投げをしました。4人が投げる順番は何通りあるか求めなさい。

・答えと解き方
答え:24通り

まず、A君が1番目に投げる場合の樹形図を画きます。A君が1番目なので、2番目に投げるのは、B君、C君、D君のいずれかです。2番目がB君だとすると、3番目、4番目に投げるのは、C君、D君となる場合とD君、C君となる場合の2通りです。2番目がC君、D君の場合も、同じようにそれぞれ2通りずつあるので、1番目にA君が投げる場合は、2×3=6(通り)あります。同様に、1番目にB君、C君、D君が投げる場合を考えればよいので、4人がボールを投げる順番は、6×4=24(通り)です。

・解き方のポイント
この問題のように、「いくつかのものを順番に並べる並べ方」を数える順列の問題では、樹形図を画くのがポイントです。「4人が投げる順番」→「4人を投げる順番に並べる」と頭の中で変換できれば、順列の問題であることがわかるでしょう。
4人がボールを投げる条件は同じなので、A君が1番に投げる場合の数が樹形図から求められれば、それに4を掛ければよいことがわかります。

・別の解き方
順列の問題であるとわかれば、順列の公式を使って解くこともできます。この問題では、4人全員を並べるので、4×3×2×1=24(通り)となります。

●例題2【組み合わせ】

・問題
A君、B君、C君、D君の4人の中から学級委員を2人選ぶとき、選び方は何通りあるか求めなさい。

・答えと解き方
答え:6通り

この問題も、樹形図を画いて数えてみましょう。まず、A君が選ばれる場合の数を考えると、もう1人はB君、C君、D君の誰かなので3通りです。次に、A君以外が選ばれる場合を考えます。B君が選ばれる場合の数は、もう1人がC君かD君のどちらかなので2通りです。このとき、「A君とB君」「B君とA君」は同じ選び方ですから、「B君とA君」の選び方を数えないように注意しましょう。最後に、A君、B君以外が選ばれる場合は、C君、D君の2人が選ばれる1通りです。このときも、「C君とA君」「C君とB君」の選び方を数えてはいけません。これらをすべて合わせたらよいので、学級委員の選び方は、3+2+1=6(通り)です。

・解き方のポイント
2人の学級委員に区別はないので、「A君とB君」が選ばれる場合と「B君とA君」が選ばれる場合は同じです。A君が選ばれる場合、B君が選ばれる場合と順番に樹形図を画き、重複して数えないように注意しましょう。

・別の解き方
組み合わせの問題であることがわかれば、組み合わせの公式を使って解くことができます。4人の中から2人を選ぶので、(4×3)÷(2×1)=6(通り)となります。

●例題3【サイコロ】

・問題
大小2個のサイコロを同時にふります。出た目の合計が5の倍数になる場合は何通りあるか求めなさい。

・答えと解き方
答え:7通り

出た目の合計が5の倍数となるのは、合計が5または10のときです。そこで、どのような目が出たときに合計が5または10になるか、それぞれについて調べます。

合計が5になるのは、(大,小)=(1,4)、(2,3)、(3,2)、(4,1)の4通り
合計が10になるのは、(大,小)=(4,6)、(5,5)、(6,4)の3通り

したがって、出た目の合計が5の倍数となるのは、4+3=7通りです。

・解き方のポイント
ある事柄AとBについて、AとBが同時に起こらないとき、AまたはBが起こる場合の数は、Aが起こる場合の数とBが起こる場合の数を足し合わせたものになります。これを「和の法則」と呼びます。

当たり前のことですが、大小のサイコロの目の合計は、同時に5と10にはなりません。そのため、この問題では和の法則を利用して、答えを求めることができます。

●例題4【道順】

・問題
3つの地点X、Y、Zがあります。XからYへの行き方は3通りあり、YからZへの行き方は4通りあります。XからYを通ってZへ行く道順は何通りあるか求めなさい。

・答えと解き方
答え:12通り

XからYまでの3通りの行き方をそれぞれ①、②、③とすると、①の行き方を使ってYまで行き、そこからZまで行く道順は4通りあります。同じように、②、③を使ってYまで行く場合も4通りずつあるので、XからYを通ってZまで行く道順は、4×3=12(通り)です。

・解き方のポイント
ある事柄AとBについて、AとBが同時に(または続けて)起こるとき、AとBが起こる場合の数は、Aが起こる場合の数とBが起こる場合の数を掛けたものになります。これを「積の法則」と呼びます。

この問題では、まずXからYへ行くという事柄のあと、続けてYからZへ行くという事柄が起きるので、XからYを通ってZへ行く道順は、積の法則を使って求めることができます。


中学受験頻出の「場合の数」は、さまざまなパターンの問題に慣れておこう

「場合の数」は中学受験に頻出の単元です。苦手意識を持っている受験生も多いでしょうが、しっかりマスターすれば得点源にできます。「場合の数」の問題を解くポイントは、数え間違いをしないこと、どの数え方をすればよいかを見極められるようになることです。そのためには、多くの問題にあたって、演習を繰り返すことが大切です。

京進の中学・高校受験 TOPΣ」では、「場合の数」のさまざまなパターンの問題に取り組めます。問題を十分に考えたあとに丁寧な解説を受けることによって、解き方を自分のものにできるはずです。興味のある方は、お近くの校舎までお気軽にお問合せください。

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