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中学受験の国語を解くために必要な力は?近年の出題傾向や勉強方法

2024.09.17

国語は苦手意識を持たれやすい教科です。国語の成績には生まれ持ったセンスやスキル、現在までの読書量が影響すると思っている方が多いかもしれません。しかし、効果的な国語対策を行えば、苦手だった子でも一気に偏差値が伸びる可能性もあるのです。

この記事では、近年の中学受験対策における国語の必勝法について詳しく解説していきます。文章読解のテクニックや注意点、基礎から応用までの学習法を紹介しますので、早めの受験対策を行いましょう。

◆本記事の目次

近年の中学受験における国語の出題傾向

近年の中学受験の出題傾向は変化してきています。思考力や咄嗟の判断力を問う問題が増え、解法にも創意工夫が求められるため、適切な対策や受験勉強が必須です。まずは近年の入試の出題傾向について詳しくみていきましょう。

●問題量が増えている

近年の中学受験では、国語のみならず、すべての教科において問題の量が多くなっている傾向にあります。

文章量が多いということは、文章を素早く読み、出題内容を瞬時に理解して正確に解く力が求められます。文章を最初から丁寧に読み進めていくのでは、時間が足りなくなる構成になっているのです。

たくさんの文章を速く正確に読み、設問で問われている該当箇所を判別する必要があるため、問題を解く以前にまず活字を読むことに慣れていなければなりません。普段から文章に読み慣れておくだけでなく、参考書や問題集で多くの類似問題に触れて、解き方や思考の癖をつけておくことが大切になるでしょう。

●思考力を問う問題が出題されやすい

文系科目では、思考力を問う問題も増加傾向にあります。知識問題の応用のような内容で、因果関係や倒置・対比関係などを考えさせる問題です。ただ知識の有無を問うのではなく、自分の考えを述べさせることで、解答を導くための思考のプロセスをチェックしています。

国語に関していうと、小論文問題が代表的な例になりますが、小論文などの記述問題も以前とは異なる形式です。かつては「文章中の言葉を使って書きなさい」という出題方法が一般的だったのに対し、近年では「あなたの意見を述べなさい」という形式に変化してきています。

問題形式が変化した背景には、公立の中高一貫校や、大学受験の改革などの影響があるようです。公立中高一貫校の影響としては、受験者の「適性検査」も兼ねた形式の問題が出題されるようになったことが挙げられます。

大学入試が2021年に大幅に改革されたことも理由の1つです。知識や技能を問う出題傾向から、思考力や判断力、主体性や協働性を測定する内容へと変化したことが影響しているといわれています。

●教科横断型の出題がされるケースもある

近年では、「教科横断型」と呼ばれる新傾向の問題も出題されるようになりました。教科横断型とは、名前の通り教科の垣根を超えた内容の問題のことで、文系の教科であってもグラフや図表の読み取りができないと読解できないのが特徴です。

教科横断型の設問では、より総合的な学力が試されます。事前に学習した内容だけを問うのではなく、論理的な思考力や文章力、筋道立てて説明する力などが求められるのです。

設問自体の難易度はそこまで高くないため、落ち着いて取り組めば決して解けない問題ではありません。しかし、予想外の角度からの出題に動揺してしまうので、初見ではつまずきがちです。

教科横断型の出題形式は受験する学校によって異なるので、明確な対策方法はありません。当日になるまでどのような形で出題されるか予測できないためです。いかに落ち着いて冷静に問題と向き合えるかが大切になるでしょう。

※参考コラム:公立中高一貫校の適性検査の出題内容は?中学受験を突破する方法を解説


中学受験における国語の勉強方法1|基礎編

「中学受験を見据えた国語の勉強をする場合は何から始めるべきか」と悩んでいる保護者の方も多いのではないでしょうか。ここからは、小学4年生~5年生が最初に取り組むべき勉強法について解説していきます。まずは基礎固めの方法からみていきましょう。

●語彙力をつける

国語の中でも、漢字や熟語・慣用句などの「知識問題」は、覚えれば覚えただけ得点源となります。語彙力をつけることで読解問題の文章への理解力も高まるため、基礎として最初に勉強しておきましょう。

中学受験で必要な知識や語彙の量は膨大です。一気に全部覚えようとせず、毎日コツコツ力をつけていくことを意識しましょう。わからない言葉があればすぐに調べて、学ぶ習慣をつけるようにすると、自然と語彙が増えていきます。

語彙や漢字を覚えるときは、暗記と復習テストを何度も繰り返し行う勉強法がおすすめです。最低でも4回はしっかり復習しましょう。以下のタイミングでの復習がおすすめです。

1. 暗記した翌日
2. 約4日後
3. 約10日後
4. 約1カ月後

脳科学的な観点からも、学習を繰り返しルーティン化することが成績アップへの近道です。暗記をする際は、目で見て受動的に覚えるよりも、実際に手を動かして能動的に覚えたことのほうが記憶に残りやすいとされています。音読や身振り手振りを交えるなど、五感を使った暗記法も効果的です。

●読解力をつける

「読解力」は、国語の論説文や物語文、随筆文などの文章問題を解くために必要な能力です。文章量が増加傾向にある近年の中学受験に対応するためには、小学4年生~5年生の早い段階から対策しておくべきでしょう。

普段の授業や家庭学習では、教科書などに掲載されている本文の「機能語」に着目し、文を正確に読むことを心掛けてください。機能語とは、冠詞・接続詞・助動詞・前置詞などの文法上の関係を示す言葉のことです。

機能語に注目して文章を読むことは、本文の内容を論理的に理解することにつながります。文章の要点を素早く掴むトレーニングにもなりますので、積極的に実践してみてください。

具体的な文章読解のコツは以下の通りです。

1. 一文一文の主述の関係に注目する
2. 繰り返し出てくる語(キーワード)に注目する
3. 筆者の主張に注目する

上記のコツを使って、以下の例文の要約方法を具体的に解説していきます。

例文

学校の中に、トイレや非常口の場所を知らせる絵文字、校内の案内図、手の洗い方の説明図などがあるでしょう。それらのように、伝えたいことを、絵や図、文字を組み合わせて見える形にしたものを、インフォグラフィックスといいます。これは、インフォメーション(伝えたいこと)と、グラフィックス(形にすること)を合わせた言葉で、デザインの一つです。
わたしには、インフォグラフィックスを作るときに大切にしていることがあります。それは、相手の立場から考えるということです。絵や図を使っていても、必ずわかりやすくなるとは限りません。街の案内図を例に考えてみましょう。
Aの案内図は、どこにどんな建物があるかを、だれが見ても分かるように表しています。そのため、この街に来た多くの人の役に立ちます。しかし、目的地が決まっている人にとってはどうでしょうか。たくさんの道や目印があるため、どの道順で行けばいのかまよってしまうかもしれません。
いっぽう、Bの案内図は、目的地まで道順と目印になる建物だけを表しています。まよわず安心して目的地に向かえるように、歩くときに見える景色を様々に想像しながら、見る人にとっていちばん分かりやすい道順にしぼってしめしています。しかし、街全体の様子を知りたい人にとっては、十分なものではありません。
このように、インフォグラフィックスを作るときには、相手の目的に合わせて、どう見えるとわかりやすいのかを考えながらデザインすることが大切です。つまり、インフォグラフィックスは、見る人の立場に立って作る、思いやりのデザインなのです。

要約文

伝えたいことを、絵や図、文字を組み合わせて見える形にしたものを、インフォグラフィックスといいます。わたしが、インフォグラフィックスを作るときに大切にしていることは、相手の立場から考えるということです。相手の目的に合わせて、どう見えるとわかりやすいのかを考えながらデザインするインフォグラフィックスは、見る人の立場に立って作る、思いやりのデザインなのです。

上記の例文には、繰り返し「インフォグラフィックス」という単語が出てきているのがわかります。まずは文章の中で頻出している単語を見つけて、その文章が何について述べているものなのかを把握しましょう。

筆者の主張部分については「わたし」という代名詞に着目します。「それらのように」や「このように」などの指示語にも着目すれば、長い文章でも正しく要約でき、伝えたい内容が理解できるのです。

●コミュニケーション能力を鍛える(=問われたことに答える)

国語の成績を伸ばすためには、コミュニケーション能力を鍛えることも重要です。一見国語の勉強とは関連がないように思えますが、コミュニケーションによって「問われたことに答える」能力が養われるため、実は記述問題などを解くために大いに役立ちます。

「コミュニケーション能力を養う」といっても、何か特別なことが必要になるわけではありません。日々の家族との会話で十分養えるため、積極的に会話することを心掛けてください。学校での出来事を子どもから聞く時間を作るだけでもかなり効果があります。

その日あった出来事を話すためには、相手に伝わるよう話の構成を組み立てなければなりません。「出来事に対して自分はどう思ったのか」という自分の意見を持つ練習にもなるため、自然と理論立てて文章を組み立てる力が養われていきます。

大人が「どうだった?」「ちょっと説明してみて」と会話で誘導し、子どもに自分の気持ちや意見を言葉にする癖をつけてあげるとより効果的です。


中学受験における国語の勉強方法2|実践編

基礎編の内容がある程度習慣化してきたら、次は実践です。実際に問題演習をこなして入試問題を解く練習をしていきましょう。記述力の高め方や演習問題の読解法について、分野別に詳しく解説していきます。

●記述問題を解く練習をする

記述問題は、問題集などで数をこなしつつ、設問に適した解答方法を覚えることが大事です。苦手意識がある場合は、まず解答を書くことに慣れるところから始めましょう。記述問題が苦手な受験生は、何を書いたらいいかわからず、解答欄を空白で提出しがちです。

国語では、問題の答え方のルールがある程度決まっている傾向があります。塾などで多くの問題に慣れ、答え方の傾向を知ることも勉強法の1つです。

たとえば、「~はなぜですか」という理由を説明させる問題には「~から」で解答します。因果関係を表す「だから」や「したがって」などに注目して、解答のヒントとなる要素を見つけていくのです。バラバラのヒントを丁寧に並べて言い換えていくと、模範解答に近い答えが見つかります。

●読解問題を解く練習をする

読解問題の対策も、多くの問題を解くことが前提となります。基礎編で身につけた方法で、接続語や指示内容を明確化しながら、実践的な読み方を身につけていってください。

読解問題は、ただ文字を目で追うだけだと設問の際にどの部分が問われているのかわからなくなってしまいます。筆者の主張や登場人物における心情などの内容を理解し、問われている該当箇所を素早く確実に捉えることが大切です。

慣れるまでは、重要な部分に目印をつけながら解いていくとよいでしょう。おすすめは、以下の図のように線を引きながら読解していく方法です。重要なワードや接続詞などの機能語、段落の切れ目などをチェックしながら読み解く癖をつけましょう。

問題文に目印をつけておくことで、答え合わせの際に自分が引いた線と、設問の意図や模範解答がどれくらい一致していたかが確認できます。復習にも役立つ方法なので、積極的に取り入れましょう。


中学受験における国語の勉強方法3|応用編

小学6年生の夏までには、前述した実践的な問題を繰り返し解き、力をつけておくことが望ましいでしょう。秋以降は本番を意識した模試などの演習内容に移行できるとなお良いです。ここからは、試験本番に向けた応用的な勉強方法について解説していきます。

●過去問で志望校の問題傾向を掴む

中学受験の入試問題は学校ごとに特色があり、出題傾向もさまざまです。目標とする志望校の出題傾向を押さえることが効率的な学習につながり、合格率にも直結していきます。小学6年生の秋ごろには過去問を入手して、入試問題の情報を得ておきましょう。

過去問を解くことによって、その学校が何を重要視しているかが把握できます。出題傾向だけでなく、単元ごとの配点などもチェックできるので、特色に合わせた攻略法を練ることも可能です。

たとえば、記述問題が多ければ記述力を強化し、読解問題が多ければ読解法を確実にマスターするなど、本番に向けた具体的な学習計画が立てやすくなります。

●時間配分の戦略を練る

中学受験対策のうちの1つに、時間配分があることを忘れてはいけません。限られた試験時間の中で、膨大な量の文章量を読解しなければならないため、設問ごとの時間配分をあらかじめ決めておくことも大事です。

子どもの得意・不得意や、志望校の出題・配点傾向に合わせて、科目の選び方や読解にかける時間などを考慮し、少しでも点数が獲得できるような工夫をしましょう。

時間配分に合わせて、勉強の優先度を決めておくこともポイントです。志望校の出題傾向がマーク式メインだった場合は、設問数の少ない記述問題にかける時間を減らし、漢字や語彙といった知識問題に時間をかけるなど選択問題対策を強化すべきでしょう。


国語の中学受験対策は早め・戦略的に行うことが重要

中学受験の国語対策は、小学4年生~5年生頃から早めに基礎固めを行うことが大切です。小学6年生の夏までには繰り返し演習問題を解いて苦手を克服し、秋には志望校を見据えた対策に入っているのが望ましいでしょう。普段の国語学習に加え、中学受験用の勉強法も戦略的に行うことが大切です。

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