• 大学受験

自己推薦書の書き方は?合格率を上げるポイントや記載例

2023.11.15

大学入試において、総合型選抜や学校推薦型選抜を受験する場合、「自己推薦書」が必要になるケースがあります。自己推薦書は合否の判断材料の一つとなるため、自分をしっかりアピールできる内容に書き上げることが重要です。しかし、いざ書こうとすると「何を書けばいいかわからない」「記載の具体例や作成のコツが知りたい」と、自己推薦書の書き方に悩む人も少なくありません。

本記事では自己推薦書の書き方について、合格率を上げるポイントを交えて解説します。書き方について、良い例と悪い例も紹介しているので参考にしてください。

◆本記事の目次

自己推薦書とは?

自己推薦書とは、大学の学校推薦型選抜を受ける際に出願書類として提出するものの一つです。名前の通り、自分の長所や過去の経験を大学側にアピールする書類として使われます。
まずは自己推薦書の提出の目的や記載内容について、理解を深めていきましょう。

●自己推薦書を大学に提出する目的

自己推薦書を大学が求める理由は、受験者の人物像を見極めるためです。自己推薦書により学力はもちろん、受験者がどのような人物なのかを総合的に判断します。大学が求める人物像と受験者がどれだけマッチしているかは重要な判断材料の一つです。
大学によっては、学校側から提出される調査書だけでなく、自己推薦書の内容を元に面接が行われる場合もあります。自分自身の言葉で、十分な内容が書かれているかどうかを精査している大学も多いため、限られた文字数の中でしっかりと自己アピールできていることが重要です。

●志望理由書との違い

自己推薦書とよく混同されがちなのが、志望理由書です。志望理由書はその名の通り、なぜその大学を志望したかという理由を書きます。大学で何をしたいのか、学びたいことや挑戦したいことは何かを具体的に記載しましょう。
一方、自己推薦書は自分がいかに大学にふさわしい人物かを自己PRするものです。単に自分のがんばったことや長所を述べるのではなく、大学側が求める学生像を意識して、過去の経験や特技などについて書くことが大切です。大学によっては、自己推薦書と志望理由書の両方の提出を求めるケースもあるため、その場合はしっかり書き分けましょう。


自己推薦書の書き方①|準備

ここからは実際に、自己推薦書の書き方をステップごとに見ていきます。自己推薦書は、いきなり書こうとしても、何を書いていいか迷ってしまうものです。まずは自分のこれまでの経験を振り返り、自己分析や志望動機を洗い出してみましょう。

●自分と志望校の分析を行う

自己推薦書を書くためには、まず自分と志望校を知るところから始めます。自分自身と大学の教育方針やポリシー、募集要項がどれくらいマッチしているかチェックしてみましょう。

・自己分析を行う
自分を知ることで、自己推薦書に書くべきエピソードが導き出されます。自己分析を通して、自分の強みや、小学校、中学校、高校で行ってきたことを振り返ってみましょう。過去の振り返りは、モチベーショングラフを活用するのも一つの手です。モチベーショングラフとは、過去から現在までを横軸、モチベーションの高低を縦軸にし、その時々の活動における感情の変化を折れ線グラフで示したものです。これらの自己分析を通して、自分のモチベーションの元となる出来事を知ることができます。

・志望校を分析する
自分をアピールするためには、志望校についてもしっかり研究する必要があります。大学の校風や求める学生像、希望する学部で学べる内容などは事前に理解を深めておきましょう。そのうえで、志望校が自分の希望に合っているかどうかを再度確認します。このとき、志望校に行きたい理由を「なぜ?」で深掘りしていくと、具体的なイメージが膨らみやすくなります。

●書く内容を整理する

書きたい内容が出揃ったら、自己推薦書に記載する内容を精査していきましょう。まずは時系列や因果関係をチェックして、論理的な流れになるように伝えたい内容を取捨選択し、順番に並べていきます。このとき、記載内容が単なる自己紹介文にならないように、志望校の校風や求める学生像を意識して記載することがポイントです。


自己推薦書の書き方②|実際に書いてみる

●整理した内容を元に自己推薦書を書く

書きたい内容が整理できたら、実際に自己推薦書を書いてみましょう。書くときは、論理的でわかりやすい文章構成を意識することが大切です。構成の段階で、要素ごとにおおよその文字数を設定しておくと、文字数が多すぎたり少なすぎたりということが防げます。書き方のコツについては後述します。

●論理的でわかりやすい自己推薦書を書くポイント

・結論から述べる
自己推薦書を読みやすくまとめるテクニックの一つが「結論から述べる」ことです。文章を書こうとするとどうしても説明的になってしまい、なかなか結論にたどり着かない文章になることも多いです。そのような文章の場合、読み手は読む気をなくしてしまいます。そうならないために、アピールしたいことは先に述べると効果的です。アピールしたいエピソードを絞り、1文を短く簡潔にまとめることを意識しましょう。
また「具体的に記載する」ことも重要です。例えば、自分の長所をアピールする場合、長所を活かして何かを成し遂げた経験とセットで書くなど、具体的に記載することがポイントです。

・入学後の目標を明確にする
入学後の目標も明確に記載しておく必要があります。書いた後、目標が志望校の特色や教育方針とマッチしているか、志望校のリサーチで得た内容と改めて照らし合わせて確認しておきましょう。また、大学は入学がゴールではないため、大学卒業後の目標まで記載するなど、将来のビジョンを示しておけるとさらによいでしょう。

・実体験を含める
記載するエピソードが抽象的なものばかりだと、魅力的な自己推薦書にはなりません。他の受験生との差別化を図るためにも、経験したことや学んだことなど、実体験を踏まえたエピソードを盛り込みましょう。具体的なエピソードがあると、より記載内容に説得力が増します。


自己推薦書の書き方③|書いた内容をブラッシュアップする

●自己推薦書をブラッシュアップする

できあがった自己推薦書は、学校や塾の先生など、受験のノウハウがある大人に添削してもらいましょう。他人の目を通すことで、誤字脱字や日本語としておかしな表現、わかりにくい箇所などが浮き彫りになります。また、客観的に見てもらうことで自分では気づけない発見もあるため、他者の意見も積極的に取り入れ、原稿をブラッシュアップしましょう。


自己推薦書を作成する際の注意点

自己推薦書を作成するときに、ついやってしまいがちなことを2つ、お伝えします。自己推薦書はそれだけで完結しているのではなく、他の資料と並べて確認されたり、自己推薦書を元に面接をされたりします。その際に、大学側に疑問や疑念を抱かれないように、自己推薦書に矛盾や誇張表現がないか、書くべき内容が書かれているか、しっかり確認しておきましょう。

●嘘を書かない

志望校に少しでも良いところをアピールしたいからといって、自己推薦書に嘘を書いたり、大げさに書いたりするのはNGです。面接では自己推薦書の内容を深掘りした質問をされる可能性があります。そのとき、自己推薦書の記載と違う回答をしてしまっては、内容に一貫性がないと判断されてしまうかもしれません。面接官に与える印象も悪くなってしまうおそれがあるため、自己推薦書には自分をより良く見せるために事実を誇張したりはせずに、正直に記載するようにしましょう。

●提出する他の書類との重複に気をつける

総合型選抜の書類選考は、受験する大学や学部にもよりますが、自己推薦書以外にも提出しなければならない書類がいくつかあります。中でも志望理由書は、自己推薦書と内容が重複してしまわないよう注意が必要です。一見すると似ているように感じるかもしれませんが、志望理由書はその名の通り「大学を志望した理由」にフォーカスして書かなければなりません。つまり大学で何を学びたいか、どうしてこの大学に行きたいのかを中心に書く必要があります。一方、自己推薦書はいかに志望校に自分がふさわしいかを伝えなければなりません。

書類ごとに記載するアピールポイントを間違えないよう、よく見直しましょう。


自己推薦書の例

では実際に、自己推薦書の例文を見ていきましょう。悪い例と、悪い例の改善ポイントを反映した良い例を紹介します。良い点は自分の自己推薦書にも落とし込んでみてください。また、悪い例の改善ポイントに挙がっているものが、自分の書いた自己推薦書に含まれていないかも、よく見比べて確認してみましょう。

●悪い自己推薦書の記載例

私は明るく前向きな性格で、コミュニケーション能力が高いのが長所である。部活ではバレーボール部に所属していて、3年生では部をまとめる立場に立った。部活内では上級生と下級生と意見が対立することもあったが、持ち前のコミュニケーション能力を活かしてリーダーシップをとり、両者の間に立って円滑に活動が進められるよう尽力した。部活動でスポーツをする楽しさや、チームで一つのことに取り組む達成感を経験し、将来は自分と同じようにスポーツに励む生徒をサポートしたいと体育教師を志すようになった。オープンキャンパスでは、学生や先生の雰囲気が良く、ここで勉強したいと強く感じるようになった。大学に入学したら、私の強みを活かして将来の夢を叶えるためにさまざまなことに挑戦していきたい。

●悪いポイントと改善点の説明

上記の記載例の改善すべき点はどこにあるでしょうか。悪いポイントをチェックしていきましょう。

・長所に関する具体的なエピソードが欠けている
まず挙げられるのが、自分の長所を活かした経験が不明確な点です。長所として明るさやコミュニケーション能力の高さを挙げていますが、経験を活かした具体的なエピソードがないため説得力に欠けています。アピールしたい経験は具体的に、さらに大学に進学したらこれらの長所をどう活かすのか、将来のビジョンまで記載すると、より魅力的な自己推薦書になるでしょう。

・書き出しが冗長である
書き出しがただの長所の羅列になっている点も、改善したい部分です。自己推薦書で伝えたい結論をコンパクトにまとめて書き出しで記載すると、読み手の興味を誘うことができます。

・志望動機がアピールできていない
志望動機が弱い点も問題です。この自己推薦書には志望する大学の特色が書かれておらず、アピールとして重要な「なぜこの大学なのか」という根拠の部分が抜けています。アドミッションポリシーや学部要項などをしっかりリサーチして、なぜ自分がこの大学・学部を選んだのか、どうしてこの大学・学部に惹かれたのかを記載するとより説得力が増します。

●良い自己推薦書の記載例

前述の改善ポイントを踏まえた自己推薦書の例文を見ていきましょう。

私は高校のバレーボール部での活動に最も力を注ぎ、この部活動の経験によって、スポーツに取り組む生徒たちを心身ともに支えていける体育教師になりたいと考えるようになった。
部活動では2年生の時に市大会2回戦負けという悔しい思いをしたが、市大会優勝という高い成績を残すことを目標に、3年生になってから週に1回のミーティングを導入し、目標達成のために必要なことを学年関係なく意見する場を作った。ミーティングでは上級生と下級生の意見が対立することもあったが、私の長所であるコミュニケーション能力を活かし、チームの緩衝材となることに徹した。次第に部員の意識も高まり、メンバー同士で行う自主的な朝練の文化も生まれ、最後の市大会では準決勝まで到達することができた。部活動を通し、目標達成のための思考力が鍛えられ、本気でスポーツに取り組む楽しさや目指すべき姿を見つけることができた。
体育教師という夢を叶えるために、体育教育学やコーチング学があり、教育へ力を入れている貴大学でスポーツと教育に関することを研究したいと考えている。持ち前のコミュニケーション能力と目標達成力で夢を実現したい。

●魅力的な自己推薦書を書くためのポイントとコツ

上記の良い自己推薦書を例にとり、魅力的な自己推薦書を書くために押さえておきたいポイントをチェックしていきます。

・時系列が正しく一貫性があるか
今回の場合、部活動の経験が夢につながり、その夢を叶えるために教育に力を入れている志望校に入学したいという一貫性のある流れができています。最初に結論を述べ、時系列も正しく記載しているので、面接官にも伝わりやすい文章になっています。

・経験が具体的なエピソードとして落とし込まれているか
自分の長所や学生時代の経験は、他の相手と差別化を図れる絶好のアピールポイントです。抽象的に書くのではなく、どんな困難にぶつかりどう克服したのか、何を達成したのか、そこで感じたことや次に活かしたいことは何か、など具体性を持たせて記載すると、面接官にもイメージしやすいでしょう。詳しく書くとその分文字数も多くなるので、エピソードはいくつも盛り込むよりも一つに絞った方が効果的です。意図を含まない部分は削除するなど、整理と推敲を重ね、余計な部分はそぎ落としましょう。

・大学側へのメリットが書かれているか
自己推薦書は単なる自分史や長所を紹介するものではありません。読み手である大学にとって、いかに受験者を入学させるメリットが記載されてあるかどうかが合否の分かれ目です。そのためには、大学側がどんな人材を求めているか理解しているか、入学後に受験者は何をしたいのか、入学したら大学にどんな価値を提供してくれるかなどが明確に記載されている必要があります。その点を意識して、再度自分が書いた自己推薦書を見直してみましょう。受験に慣れている先生にも添削してもらい、納得のいく文章が完成したら清書してください。


自己推薦書の自己PRは志望校に合わせた具体的な書き方を意識して

実際に自己推薦書を書こうとすると、「書く内容が思い浮かばない」「文字数内にまとめられない」「話があちこちに飛躍してしまう」「どのエピソードを中心に書いたらいいかわからない」など、さまざまな壁にぶつかる人もいるでしょう。しかし大切なのは、自分が志望する大学への熱意をしっかりと伝えることです。

自己推薦書の書き方に悩んだら、塾の先生に頼ることも一つの手段です。「京進の個別指導 スクール・ワン」なら、自己推薦書の添削経験が豊富な先生たちが、多種多様な受験に対応しながら丁寧な指導で自己推薦書をブラシュアップしてくれます。完全1:2の個別指導なので相談もしやすく、ひとりひとりに寄り添いながら志望校合格へと導きます。もちろん、自己推薦書だけでなく、脳科学に基づく学習法で学力を伸ばし、成績の底上げも可能です。結果だけでなく、努力のプロセスを褒める指導は勉強のモチベーションを高め、自分で考える力を養います。

「自己推薦書の書き方を教えてほしい」「自分に合った学習方法で自信をつけたい」「志望校合格のために成績や偏差値を伸ばしたい」という人は、京進の個別指導 スクール・ワンがおすすめです。体験授業や教室見学も随時行っていますので、興味のある方はぜひ下記よりお問合せください。

「京進の個別指導 スクール・ワン」を詳しくみる