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共通テスト対策はいつからやるべき?受験生向け教科別の対策ポイント
大学受験を意識し始めると、「共通テスト」という言葉を耳にする機会が増えますよね。いつから対策を始めればいいのか、どんな勉強法が効果的なのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
特に2025年1月実施分からは新学習指導要領に対応した形式となりました。
この記事では、共通テストの基礎知識から変更点、そして気になる対策を始める時期の目安まで解説します。さらに、科目別の具体的な対策ポイントもご紹介しますので、学習計画を立てる際の参考にしてください。
本記事の目次

共通テストとは?
大学入学共通テストは、独立行政法人大学入試センターが実施する、大学入学希望者を対象とした試験です。国公立大学の一般選抜では原則必須とされ、多くの私立大学でも共通テストの成績を利用する入試方式が採用されています。
共通テストの出題形式
共通テストは、かつてのセンター試験と同様にマークシート方式で解答します。しかし、単に知識を問う問題ばかりではありません。
思考力・判断力・表現力を重視した問題が多く出題されるのが特徴です。複数の資料やグラフを読み解いて考察する問題や日常生活に関連した題材など、初見の状況に対応する力が求められます。また、問題文自体の文章量や情報量が多いため、試験時間内にすべて解答し終えるような時間配分も必要です。
共通テストで取るべき点数の目安
共通テストで合格圏内に入るために必要な点数は、志望する大学によって異なります。国立大学を志望する場合は得点率70〜80%、難関私立大学の共通テスト利用方式で受験する場合は80%以上、その他は60〜70%が合格ラインの目安です。入試は結果的に合格ラインをクリアできていればよいので、苦手科目の失点を抑えて、得意科目で得点を伸ばす戦略を練る必要があります。合格のボーダーラインを知るためにも、民間の企業が調査している判定結果の得点率をチェックしておくことも重要です。
共通テストの2025年度からの変更点とは
2025年1月に実施された共通テストより、新学習指導要領への移行に伴い、出題科目や試験時間が一部変わっています。
新教科「情報」の追加をはじめ、複数教科で科目再編や試験時間の変更が行われ、これまで以上に思考力や判断力が問われる内容へと変化しています。
| 項目 | 変更点 |
|---|---|
| 科目数 | ・6教科30科目から7教科21科目に。 |
| 国語 | ・近代以降の文章に関する大問が1題追加され、計5題構成に。 ・多様な文章や資料をもとにした読解力・思考力がより重視される。 ・試験時間が80分から90分に。 |
| 英語 | ・リーディングの大問が6問から8問に増加。 ・各大問のA/B区分がなくなり、長文の出題数が8本に。 |
| 地理 歴史 公民 | ・「地理総合」「歴史総合」「公共」が必履修科目に。 ・必履修科目と探究科目を組み合わせた6科目から最大2科目を選択する形式に。 ・組み合わせに制限がある。 |
| 数学 | ・数学②が「数学Ⅱ・数学B・数学C」に再編。 ・数学②の試験時間が60分から70分に。 |
| 情報 | ・新教科として「情報Ⅰ」が追加。 ・プログラミングの基礎や情報リテラシーに関する問題が出題される。 ・試験時間は60分。 |
| 理科 | ・基礎科目が「物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎」で1科目扱い(主に文系) ・最大2科目を選択(主に理系) |
| 満点 | 総点が900点から1000点に。 |
新科目「情報Ⅰ」の登場
2025年度からの大きな変更点は、新科目「情報Ⅰ」が加わったことです。これにより、多くの国公立大学で「情報Ⅰ」が必須科目となりました。
これまでの5教科7科目が基本だった国公立大学受験は、原則として6教科8科目に変わります。「情報Ⅰ」では単なる知識の暗記ではなく、プログラミング的思考やデータ分析など、論理的に課題を解決する思考力が問われるのが特徴です。
「国語」と「数学」の試験時間延長と内容変化
思考力を要する問題が増えたことに伴い、「国語」と「数学②」の試験時間がそれぞれ10分延長されました。
国語:従来の現代文2題・古文・漢文の構成に、文章・グラフ・資料から読み解く問題が1題追加されました。
数学:特に数学②は「数学Ⅱ・B・C」となり、「数学C」が加わったことで学習範囲が拡大しました。「ベクトル」や「複素数平面」などの単元が数学Cに移行し、しっかりとした対策が必要です。
「地理歴史・公民」の複雑な科目選択
地理歴史・公民では、「地理総合」「歴史総合」「公共」といった新しい必履修科目をベースとした新編成に再編されました。
これにより、科目選択の組み合わせが非常に複雑で、組み合わせ不可の選択もあります。になっています。自分の志望大学がどの科目を指定しているのかを早期に確認することが、これまで以上に重要になります。
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共通テストの対策はいつから始めるべき?
共通テストのための勉強は、直前期だけ行うような付け焼き刃ではうまくいきません。勉強はできるだけ早めに始めるようにしましょう。
とはいえ、いきなり過去問から取り組むのはおすすめしません。基礎が固まっていないうちに本番の問題に取り組もうとすると行き詰まってしまい、モチベーションの低下にもつながりかねません。また、高1や高2の段階ではすべての受験範囲を習っていないため、解けない問題もあるでしょう。まずは、中学と高校で習った内容を完璧にするのが鉄則なので、問題集などを用いて復習と基礎固めを徹底してください。
高校3年生の夏休み前までには各学年の内容をインプットして定着させ、復習し終えておきたいところ。進度の早い高校では高3になるときにはすでに過去問題を解き始めているところも珍しくありません。秋以降は対策問題集や予想問題集、過去問などを解く回数を増やしてアウトプットに取り組みます。
これらの学習を効率的に進めていくために、早めの段階から勉強計画を立てておきましょう。
【科目別】共通テスト対策ポイント
ここでは、主要科目別に対策のポイントを解説します。自分に合った勉強法を見つけるためのヒントにしてください。
英語
共通テストの英語は、リーディングとリスニング共に、圧倒的な情報量が特徴です。英文や音声をただ理解するだけでなく、情報を効率的に整理・判断する能力が問われます。
ポイント1 速く読む力と、要点をつかむ力を養う
リーディングは英文量が非常に多いため、すべての文を丁寧に精読している時間はありません。質問や選択肢に先に目を通し、何が問われているかを予測しながら、本文から必要な情報を探し出す練習が必要です。語彙力や文法・語法の基礎固めも速読の土台となります。
ポイント2 本文とは違う表現(言い換え)に慣れる
正解の選択肢は、本文で使われた単語や表現がそのまま使われることは少ない傾向にあります。同義語や異なる構文で言い換えられていることが多いため、注意が必要です。問題演習を通して、書かれている内容を的確に理解し、同じ意味を持つ選択肢を見抜く訓練を積みましょう。
ポイント3 多様な音声を聞き、複数の情報を整理する
リスニングでは、読み上げ回数が1回の問題と2回の問題が混在します。図表やワークシートを見ながら音声を聞き、情報を整理する問題も出題されます。多様な話者の英語に触れるとともに、資料に先に目を通して展開を予測する実践的な練習が必要です。
数学
共通テストの数学では、噴水や電柱の影といった日常の事象を題材にした、初見の問題に対応する力が求められます。単に公式を暗記して当てはめるだけの学習では通用しないこともあります。
ポイント1 「なぜそうなるのか」を考え、根本原理を理解する
公式や定理をただ覚えるのではなく、「なぜその公式が成り立つのか」という証明や導出の過程まで理解することが、応用力を養う上で重要です。見たことのない問題でも、どの法則が使えるかを判断する力が身につきます。
ポイント2 長い問題文から解答に必要な情報を正確に抽出する
問題文が長く、会話文形式で与えられることも多いため、出題者の意図を正しく読み取り、数式に落とし込む訓練が必要です。普段から問題文を図に書き込むなど、情報を整理する癖をつけ、読解力を鍛えましょう。
ポイント3 時間を計った演習で、計算力と戦略を磨く
試験時間に対して問題量が多いため、速く正確に計算する力と、時間内に解き切る戦略が合否を分けます。過去問や模試に取り組む際は必ず時間を計り、難しい問題を後回しにするなど、自分なりの時間配分を確立しておくことが大切です。
国語
共通テストの国語は、90分の試験時間内に現代文、古文、漢文を解く必要があります。表面的な読解だけでなく、文章の論理構造を正確に把握し、設問の意図を読み解く力が問われます。
ポイント1 現代文は本文を根拠に、客観的に選択肢を判断する
評論・小説ともに、自分の感覚や主観で選ぶのではなく、本文のどこに書いてあるかという客観的な根拠を持って選択肢を吟味する訓練が重要です。複数の資料を扱う問題では、それぞれの内容を正確に整理し、関連づけて考える力を養いましょう。
ポイント2 古文は単語と文法を固め、正確な現代語訳を目指す
まずは重要古語と古典文法という読解の土台を固めることが最優先です。その知識を使って、一文ずつ正確に現代語訳する練習を重ねましょう。そうすることで、文章全体の流れや登場人物の関係性を的確に捉える力が身につきます。
ポイント3 漢文は句形と重要語を習得し、文章構造をつかむ
漢文の読解は、返り点に従って読むルール(句法)と重要単語の知識が基本です。これらを習得した上で、多くの文章に触れて読解力を養う地道な学習が効果的です。繰り返し音読することも、内容理解の助けになります。
理科
理科では、単なる公式や用語の暗記だけでは対応できない、思考力・判断力を問う問題が中心です。特に実験や観察を題材にした問題が多く、データやグラフを正確に読み解き、基本法則と結びつけて考察する力が求められます。
ポイント1 公式や用語を「なぜそうなるのか」まで深く理解する
公式や法則を丸暗記するのではなく、その過程や、どのような条件下で成り立つのかという根本原理まで理解することが、初見の問題を解くためのカギとなります。教科書を精読し、現象の背景にある本質をつかむことが大切です。
ポイント2 実験や探究活動のプロセスを理解する
「なぜこの実験を行うのか」「結果から何が言えるか」といった、実験の目的やプロセスを理解することが重要です。学校の実験に主体的に参加するだけでなく、教科書の探究活動の項目を読み込み、仮説・操作・考察という一連の流れを意識する習慣をつけましょう。
ポイント3 図やグラフから情報を正確に読み取り、考察する
問題文や資料で与えられた図、グラフ、表から、必要な情報を的確に抽出し、基本的な知識と結びつけて解答を導く力が問われます。過去問や模試の演習を通して、共通テスト特有の資料読解問題に数多く触れ、慣れておくことが大切です。
地理・歴史
地理・歴史ともに、単なる知識の暗記ではなく、地図・統計・史料といった多様な資料を正確に読み解く力が求められます。出来事の背景や因果関係を論理的に考える思考力や、膨大な情報から題意を素早くつかむ判断力も高得点のカギです。
ポイント1 図表や史料から情報を正確に読み取る
初見の図表や史料であっても、何が示されているかを的確に読み取り、自分の知識と結びつけて考察する力が問われます。普段から教科書や地図帳、資料集に載っている資料に注目し、読み取れることを考える習慣をつけましょう。
ポイント2 物事の背景や因果関係を深く理解する
日本史や世界史の用語を覚えるだけでなく、「なぜその気候が生まれるのか」「なぜその事件が起こったのか」といった物事の背景や原因と結果の関係性を意識することが重要です。歴史の「タテ(時代)」と「ヨコ(同時代世界)」のつながりを意識すると、理解が深まります。
ポイント3 実践的な問題演習をできるだけ多く積む
新課程に対応した過去問はまだ少ないため、旧課程の共通テストやセンター試験、模試などを活用して、できるだけ多くの問題に触れることが重要です。問題演習を通して、共通テスト特有の問い方や思考プロセスに慣れていきましょう。
公民
共通テストの公民は、「公共」分野に加えて「倫理」または「政治・経済」の専門分野から出題されます。単に用語を覚えるだけでは正解できない、内容の深い理解を問う問題が中心です。
ポイント1 なぜそうなるのか、背景や意味を深く理解する
思想家の主張や政治・経済の制度について、「キーワードと人名」といった組み合わせで覚えるだけでは不十分です。その思想が生まれた背景や、制度が持つ本来の意味まで理解することで、紛らわしい選択肢にも対応できる力が身につきます。
ポイント2 教科書と問題演習を往復し、知識を定着させる
まずは教科書を精読して、基本的な知識を確実に習得します。その上で、単元別の問題集や過去問に挑戦し、間違えた箇所はすぐに教科書に戻って確認しましょう。このサイクルを繰り返すことで、知識がより確実なものになります。
ポイント3 旧課程の過去問も活用し、実践力を養う
新課程の過去問だけでなく、旧課程の「倫理」「政治・経済」「現代社会」の問題も思考力を鍛える上で有効です。多くの問題に触れることで、共通テスト特有の問い方や、資料の読み取り方に慣れていくことができます。
情報
共通テストの「情報Ⅰ」では、学習する4領域から幅広く出題されます。知識そのものを問うのではなく、身近な出来事を題材に、学んだ知識をどう活用して問題を解決するかという思考プロセスが重視されるのが特徴です。
ポイント1 知識が「どう使われるか」を意識して学ぶ
「おつりの計算」や「レシートの活用」のように、日常に潜む課題が問題のテーマになることもあります。用語や技術を覚えるだけでなく、「この技術は社会でどう役立っているか」を考え、知識の応用力を養いましょう。
ポイント2 長い問題文や図表を正確に読み解く
会話文や複数の資料が提示され、そこから解答に必要な条件を読み取る必要があります。散布図や箱ひげ図などのデータが何を示しているかを正しく解釈し、自分の知識と結びつけて考察する練習が必要です。
ポイント3 実践的な演習で解答の速度と精度を高める
過去問や模試を利用して、共通テスト特有の問題形式に慣れておくことが重要です。時間を計って解きながら、時間内に的確な判断を下す訓練を積むと良いでしょう。
共通テスト対策がうまくできないと感じたら?
ここまで科目別の対策ポイントを解説してきましたが、共通テストを攻略するには、思考力を問う出題傾向を把握し、基礎固めと実践演習をバランスよく組み合わせた計画的な対策が不可欠です。
しかし、「各科目の対策はわかったけれど、自分の現状からどう計画を立てればいいのか」「限られた時間で、効率よく全科目の点数を上げる方法が知りたい」と、独学での対策に難しさを感じている人も多いのではないでしょうか。
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